【学生必見】学習効果を高めるおすすめの睡眠改善法!
学習した後、しっかり睡眠をとっていますか?
学習後に睡眠をとると覚えたことが記憶に定着しやすくなるなど、睡眠と学習には大きな関わりがあります。
また学習のみならず、心身においても睡眠は重要な役割を果たします。
この記事では、学生の方向けに、睡眠が学習にもたらす影響と、睡眠のコツ、学習のコツをご紹介します。
学生の方、特に受験生の方は睡眠時間を削ったり、夜遅くまで勉強したりと睡眠不足の生活になりがちになるかと思います。
睡眠時間が足りていないという方は、睡眠と学習の関係を知った上で、一度今の生活を見直してみてはいかがでしょう。
1. 睡眠と学習の関係
1-1 記憶力・集中力への影響
1. 記憶の整理・定着
人の睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つの種類があるのはご存知の方も多いと思います。
そのうち、レム睡眠には思考の整理や、記憶の整理・定着という役割があります。※1
レム睡眠中は学習記憶に関わりを持つ「海馬」という脳の器官が活発になり、その日起きているあいだに体験したこと、覚えたことを整理して記憶として定着させます。
睡眠時間が短いと、記憶の定着が十分に行われないため、前日に頑張って覚えたのに身についてない、といった事態になってしまいます。
覚えたり、学んだりすることが多い学生の方は、レム睡眠が重要ということを意識して、睡眠をしっかりとりましょう。
2. 脳の休息
一方、ノンレム睡眠には脳の休息という役割があります。
脳は1日の生活の中で様々な思考を働かせ、多くの選択をし、疲労します。
ノンレム睡眠で脳を休ませることで、次の日に頭がすっきりした状態で1日を始められるというわけです。
また、脳は体と違って、睡眠でしか休ませることはできません。注意しましょう。
以上のように、睡眠は学習に大きなメリットがあります。
寝不足の状態では頭が上手く働かず、眠気を引きずったり、集中力が続かなかったりなど、学習効率の低下を招きます。
また、眠くても頑張って起きていた挙句に、覚えたことを忘れてしまったというのはもったいないです。
睡眠時間を削って勉強するよりは、どこかで一度区切りをつけて、さっさと寝てしまう方が効果的といえるでしょう。
1-2 やる気・感情など精神への影響
定期試験や受験の日が近づいてくると、イライラしたり、緊張や不安に襲われるという方もいるのではないでしょうか。
睡眠には脳の疲労の回復という役割がありますが、ストレスを取り除くという働きもあり、メンタルヘルスの向上にもつながります。
また、睡眠の質を高めると、不安感や憂鬱感・空虚感などの気分の落ち込みにも効果を期待できます。
睡眠不足になると人の脳にある、恐怖や不安といった負の感情に関わる「扁桃体」という部分が活発になり、些細なことでも恐怖に感じたり、不安に襲われたりします。この扁桃体を休息させることでこれらの感情を軽減させているのです。
大きなストレスを抱えたまま毎日過ごしていると、些細なことにイライラしたり、不安感や焦燥感に苛まれたりして学習に集中できない、ということが増えるだけではなく、思考がネガティブになる、何事にも意欲が無くなる、酷い場合はうつ病などの精神疾患を引き起こす可能性もあります。
特に定期試験や受験等でストレスやプレッシャーを感じやすい方は、睡眠時間を多くとると良いでしょう。
ただし、ストレスを溜め込みすぎるとイライラや緊張で目が冴えてしまい、眠れなくなるという可能性もあります。ストレスを発散する方法を見つけて、日頃から溜め込まないようにするという工夫も必要です。
睡眠には記憶の整理・定着と、脳の休息という2つの役割がある
睡眠は精神的な疲労も回復させる。ストレスやプレッシャーを感じやすいなら睡眠時間を多くとると良い
2. おすすめの睡眠方法!
2-1 7時間以上寝るべし!
アメリカ国立睡眠財団によると、理想的な睡眠時間は、6〜13歳の場合は9〜11時間、14〜17歳の場合は8〜10時間、18〜25歳の場合は7〜9時間としています(下図参照)。
図. アメリカ国立睡眠財団が発表した推奨睡眠時間
出典:https://www.sleepfoundation.org/articles/how-much-sleep-do-we-really-need>
年代(年齢) | 推奨される睡眠時間 |
---|---|
新生児 (0~3ヶ月) | 14 〜 17時間 |
乳幼児 (4~11ヶ月) | 12 〜 15時間 |
幼児 (1~2歳) | 11 〜 14時間 |
未就学児童 (3~5歳) | 10 〜 13時間 |
学齢児童 (6~13歳) | 9 〜 11時間 |
十代 (14~17歳) | 8 〜 10時間 |
若年成人 (18~25歳) | 7 〜 9時間 |
成人 (26~64歳) | 7 〜 9時間 |
高齢者 (65歳以上) | 7 〜 8時間 |
また、学習効果を高めるという意味では、ハーバード大学の研究において、新しい知識や技術を習得するには、学習した日に6時間以上の睡眠が必要とする研究結果があるので、少なくとも7時間以上睡眠をとるようにすると良いでしょう。
ただし、最適な睡眠時間は個人差があり、極めて稀なケースで、5時間未満でも健康に問題ないという、いわゆるショートスリーパーの人や、10時間は必要というロングスリーパーの人までおり、全ての人に当てはまる絶対的な睡眠時間の基準はありません。
まずは睡眠時間7時間以上を目安として、起床後の満足感や午前中の眠気の感じ方などから、自分に合った睡眠時間を見つけ出していくのが良いと思います。
2-2 学習するなら仮眠をとる!
学習効果を高めるには、仮眠がおすすめです。
仮眠には、眠気をとることの他に、その後の記憶力や集中力を回復し、パフォーマンスを高めるといった効果があります。
実際に「仮眠タイム」を実践している学校や会社も存在します。
仮眠の時間とタイミング
仮眠は、夜の睡眠に影響が出ないように午後の早い時間、昼食後の眠気を強く感じる時間帯に、15分〜20分の時間とるようにすると良いでしょう。
仮眠の時間が30分を超えると、頭が本格的な眠りに入ろうとします。
すると睡眠慣性と呼ばれる、起きた後も眠気を強く引きずってしまう状態になり、その後の集中力が続かなくなってしまいます。
仮眠のとり方
仮眠をとるときのコツは、快適すぎない環境で行うことです。
体を横にすると深く眠ってしまうので、明るい部屋で、机に伏せる等の環境で仮眠をとりましょう。
また、仮眠をとる前にカフェインを摂取することもおすすめです。
覚醒作用があるカフェインの効果は摂取後15〜20分といわれており、仮眠から起きる時間にちょうど良く、すっきりと目覚めることができます。
2-3 夜の就寝前はリラックス
就寝前は、とにかくリラックスすることが大切です。
人の自律神経には、脳を活性化させる交感神経と心身を落ち着かせる副交感神経があります。
リラックスすることで副交感神経の働きを促し、眠りにつきやすくなります。
入浴、音楽、軽いストレッチ等、自分の好きなもので気分をリラックスさせましょう。
就寝前の過ごし方については、以下の記事もご参考ください。
2-4 就寝時のNG行動!
夜食
夜中に勉強しているとお腹が減ってしまい、つい食べ物に手を伸ばしてしまう…ということもあると思います。
しかし、夜食はおすすめできません。
食事をとると、およそ3時間は胃が活性化し、その間に寝てしまうと脳や体が十分に休まらず、睡眠の質が悪くなってしまいます。また、夜遅い時間の食事は体内時計のリズムを夜型化させ、日中に眠気を引き起こす可能性があります。
さらに言えば、夜遅い時間のカロリーは脂肪として体内にたまりやすく、肥満の原因にもなります。
どうしても食べたい場合は、スープやおかゆ、うどんといった消化の良いものを食べ、お肉や、油分が多いものは控えましょう。
スマートフォン・PC等の使用、テレビ
スマートフォンやPC等の電子機器から発する「ブルーライト」は夜間に浴びると体内時計が乱れ、寝つきを悪くしたり、目覚めが悪くなります。
できれば就寝1時間前には使用を控えるのが望ましいですが、これらの電子機器で学習をしている方もいらっしゃるでしょう。
その場合は、ブルーライトカットの眼鏡等のアイテムを利用するようにしましょう。それでも長時間ブルーライトを浴びるのは良くないので、就寝直前の学習は電子機器を使用しない内容のものにするのが良いと思います。
また、勉強した後の就寝時にスマートフォンを見ていると、勉強して覚えた情報の上に他の情報が重なっていくことで、記憶がスムーズに脳に定着しにくくなります。寝床に入ったらすぐに寝ましょう!
最適な睡眠時間は個人差があるが、7時間はとるようにすると良い。
仮眠は、午後の早い時間帯に15〜20分、机に伏せるなど快適すぎない環境でとるのが良い
就寝前はリラックスし、心身の緊張をほぐす
夜食は基本的にとらないようにして、どうしてもという場合には消化の良いものにする
就寝前1時間の電子機器の使用は控えるようにして、使用する場合はブルーライトカットのアイテムを活用する
3. 学習のコツ
学習内容によっては、適している時間帯というものがあります。
学習の成果があまり感じられなかった内容は、いつもと違う時間帯に取り組んでみると良いかもしれません。
3-1 午前中は、数学と国語に取り組む!
睡眠中に記憶が整理されるので、朝に目覚めた直後は頭がクリアな状態です。そのため、朝〜午前中は情報が頭にすっと入りやすく、思考が整理されやすいです。また、クリエイティブなことにも向いている時間帯でもあります。
朝、午前中は発想力や思考力が求められるものに取り組みましょう。
国語や数学といった論理的思考、発想力が必要なものが向いています。
また、自分がよく知らない新しい分野の本を読んだり、知っている内容でもレベルが高く難しい本に挑戦したりするのも良いでしょう。
3-2 夜は、英単語帳を開く!
脳は睡眠中に前日の記憶を整理し脳に定着させるとお伝えしましたが、寝る直前に記憶したものはより脳に残りやすいと言われています。
寝る直前に覚えたことは、寝るまでの間に頭に余計な情報が入りにくく、睡眠時の記憶の定着がスムーズに行われるというわけです。
したがって、夜、特に寝る前の30分は暗記の時間に充てると良いでしょう。
英単語・漢字の学習や、歴史・生物などの暗記系科目の学習に向いています。
午前中は頭がスッキリして情報が入りやすく思考が整理されやすい。数学・国語に取り組むのが良い
就寝前に覚えたことは頭に定着しやすいので、英単語や暗記科目の学習に向いている
4. まとめ
睡眠には記憶力や、物事に対する意欲に大きな関わりがあり、学習効果を高めるためにとても大切なものです。
今まで睡眠を軽くみていて睡眠時間を削りがちだった、という方もこの機会にまずは数日からでも、睡眠時間を確保してみてください。その後の生活を以前と比べてみると、睡眠の効果を実感できると思います。
※1 Plihal W, Born J (1997). Effects of early and late nocturnal sleep on declarative and procedural memory. J Cogn Neurosci 9: 534–547.