【春の睡眠】身体の不調「春バテ」に要注意!おすすめの対策法5選!
寒い季節が終わりに向かい、やっと暖かくなってきたのに、なんだか身体がだるい、やる気が起きない…。
それは春特有の身体の不調である「春バテ」かもしれません。
夏バテに似た症状を持つ春バテは、身体のだるさや気力の低下に加えて睡眠の質にも影響を与えてしまいます。
この記事では、春にあらわれる不調「春バテ」の原因と対策法をご紹介します。
1. 春の睡眠について
「春眠暁を覚えず」というように、春はいつまでも寝ていたかったり、日中眠かったりすることがあります。
春は冬より日照時間が長くなります。
冬と比べ、1日の活動時間が長くなり、それだけ動く量も増えやすいので疲れやすくなります。
また、日が昇る時間が早くなるため普段よりも早く目覚めてしまったり、起きていられる時間が増えて睡眠時間が減少しがちになったりなど、睡眠不足になりやすいので、二度寝や日中の眠気につながりやすくなるのです。
一時的な睡眠不足だけなら良いですが、春には眠気に加えて倦怠感や疲労感といった「夏バテ」のような身体の不調が現れることがあります。
この不調は「春バテ」と呼ばれており、日中の気力の低下だけでなく、寝つきが悪くなる、睡眠が浅くなるといった睡眠の質の低下も引き起こしてしまいます。
春の睡眠は、この「春バテ」を予防・対策していくことが重要になります。
春は日照時間が長くなり、睡眠不足に陥りやすい。
春特有の気象の変化や環境の変化によって現れる不調を「春バテ」といい、この不調を予防・対策していくことが春の睡眠において大切。
2. 春バテについて
2-1 春バテとは?
春バテとは、冬から春にかけての大きな寒暖差や気圧の変化などの影響、春の時期特有の環境の変化などにより、心身の疲弊から、身体がだるい、やる気が出ないといった夏バテに似た不調が現れることを指す言葉です。
2021年に、医師や専門家、企業などで構成される「ウーマンウェルネス研究会 supported by Kao」が発表した、首都圏在住の20〜50代の男女835人を対象とした「春の不調に関する意識調査」によると※1、
季節の変わり目である春(3〜5月)に、気分の低下や倦怠感といった身体の不調を感じている人が6割を超え、さらに精神面での不調を2人にひとりが感じていることが判明しています。
2-2 春バテの症状
春バテの主な症状としては倦怠感や疲労感、やる気の低下、イライラ、不安といった気分に関わるもののほか、頭痛、肩こり、食欲不振、腹痛・下痢、めまい・立ちくらみといった症状が挙げられます。
また、寝つきが悪くなる、浅い睡眠が増えるといった睡眠の質の低下もおこる場合があります。
春バテとは、冬から春にかけての大きな寒暖差や気圧の変化、環境の変化などの影響による夏バテに似た様々な不調をいう。
春バテの症状としては、倦怠感や疲労感、頭痛、肩こりといったもののほか、睡眠の質の低下等が挙げられる。
3. 春バテの原因
3-1 自律神経の乱れが大きな原因
私たちの身体には「交感神経」と「副交感神経」の2種類の自律神経があり、その2つがシーソーのようにバランスをとりながら全身の血管や内臓などの働きをコントロールしています。
そして、この2つの自律神経の優位を上手く切り替えることで心身の健康を維持しています。
交感神経は日中の活動時に優位になり、身体の緊張を高め、心拍数を増やしたり血圧を高めたりして身体を活動状態にさせる働きがあります。
一方、副交感神経は睡眠時や休息時に優位になり、身体の緊張を緩め、心拍数や血圧を落ち着かせて休息状態にさせる働きがあります。
しかし、春特有の気象や環境の変化によって自律神経のバランスが崩れやすくなります。
自律神経が乱れると、日中活動するタイミングで眠気や倦怠感が襲ってきたり、反対に夜布団に入ってもなかなか寝つけなかったりといったことが起きます。
自律神経の乱れによって交感神経が優位な状態が続くと、緊張による血行不良で疲れが取れにくくなったり、肩こりや頭痛が起きたりします。また、ストレスも増加するのでイライラや不安感を感じることも増えてしまうのです。
就寝前の緊張は睡眠の質の低下にもつながってしまいます。
3-2 原因① 激しい寒暖差と身体の冷え
春は穏やかなイメージとは裏腹に、一年の中でもっとも寒暖差の激しい季節です。
「三寒四温」という言葉通り、ポカポカした日もあれば、冬に戻ったかのように寒い日もあります。
2021年3月中の東京都の最高気温では、1週間の中でおよそ13℃もの差がありました※2。
1日の中でも、朝・昼と夜で気温差が大きい日も多いです。
暖かい日と寒い日が混在していたり、朝晩の気温の差があったりするため、身体が激しい寒暖差についていけずに自律神経が疲弊し、バランスが崩れやすくなります。
寒暖差に加え、身体の冷えも自律神経を乱す原因になります。
急な冷え込みにより身体が冷えると、身体が緊張し、交感神経が優位になってしまいます。
身体の冷えにおいては、秋や冬に比べて寒さへの意識も薄れがちで薄着になることが多いということも原因と考えられます。
3-3 原因② 気圧の変化
自律神経は気圧の変化に敏感で、低気圧の影響を受けやすいといいます。
春においては「移動性高気圧」が多くみられます。この移動性高気圧が次々にやってきて低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わると、自律神経の切り替えが上手くいかなくなります。
また、低気圧時は空気中の酸素濃度が薄くなり、身体が酸欠状態に陥りやすくなります。酸欠状態になると副交感神経が優位となり、身体がリラックス状態に入ろうとするため、やる気の低下や倦怠感、眠気が引き起こされます。
低気圧による酸欠状態は人によっては頭痛やめまいの原因にもなります。
3-4 原因③ 花粉症
春は、日本人の半数近くの人が苦しんでいるといわれる花粉症がひどくなる時期です。春の花粉症の一番の原因はスギ花粉です。
鼻呼吸には、冷たい外気を取り込んで鼻を通るときに脳を冷やすという役割があります。
花粉症によって鼻が詰まっていると、口呼吸になることで鼻呼吸と比べ効率的に酸素を取り込むことができなくなるのに加え、脳を効率よく冷却することができなくなるので、脳が十分に休まらず、睡眠の質が低下してしまいます。
また、花粉症の薬を飲むと、その副作用として眠くなることがあります。
花粉症の症状は自律神経の乱れにより悪化するといわれており※3、症状の軽減には自律神経を整えることが大切になります。
自律神経を整える具体的な方法については後述します。
3-5 原因④ 環境の変化によるストレス
春先の4月の時期においては、卒業、入学・進学、就職、異動、引っ越しなど、新生活が始まり自分の周りの環境や人間関係の変化が大きくなりやすいです。
環境の変化とともに忙しくなりやすい季節でもあり、慣れない環境による疲れやストレスを受けやすく、自分でも気がつかないうちに心身共に緊張している状態が続く場合があります。
緊張状態が長く続くと交感神経が常に優位な状態になり、自律神経が乱れやすくなります。
春バテの大きな原因は自律神経の乱れ。
春は寒暖差が激しく、自律神経の疲弊や身体の冷えをもたらすので自律神経が乱れやすくなる。
自律神経は気圧変化に敏感であり、移動性高気圧が次々にやってくる春は気圧の入れ替わりが頻繁に起きるため、自律神経の切り替えが上手くいかなくなる。
花粉症による鼻呼吸の阻害が睡眠の質の低下をもたらし、日中の眠気につながる。
春は自身を取り巻く環境の変化が大きくなる場合が多いので、慣れない環境によるストレスを受けやすく、自律神経が乱れやすくなる。
4. 春バテの対策法
春バテの予防と対策は、自律神経を整えることです。
まず寒暖差を感じることを防ぐ対策と、ストレスを溜めこまないような生活を心がけることで自律神経の乱れを予防します。
もし身体が冷えてしまったりストレスが溜まったりしても、身体を温め、リラックスすることが大切です。
具体的な方法をご紹介します。
4-1 寒暖差対策を心がけよう
寒暖差の対策として、まずは普段の服装を意識しましょう。
肌寒い時は厚着、暖かい時は薄着と寒暖差に合わせた服装を心がけることが大切です。
冷え対策としては、外出の際に首・手首・足首をできるだけ外気に晒さないようにすると良いでしょう。
春はファッションとして薄着になりがちです。
薄着でいることが多いという方は、カーディガンやストールといった冷え対策用アイテムを持ち歩いておくと便利です。
自律神経は「寒い」と感じた瞬間には乱れてしまうので、急な気温の変化にすぐに対応できるようにしておきましょう。
服装のほか、冷え対策にはカイロや温熱シートといったアイテムもおすすめです。
身体に直接貼れるものであれば、血流が多く太い血管のある首・腰・お腹・太ももをあらかじめ温めておくと効果的です。
4-2 適度な運動を習慣にしよう
冬から春にかけて休日は家でゴロゴロしていることが多く、運動不足な方も多いのではないでしょうか。
自律神経を整えるには、適度な運動を習慣にすることも大切です。
身体を動かすことで体温が上がり、筋肉への刺激で血流が良くなるので副交感神経が優位になります。
血流が良くなると冷えの防止になり、継続的な運動で筋肉量が増えると体内の熱を生み出す力も高まるので、冷えに強い身体を作ることができます。
また、適度な運動は気分転換になるのでストレスの発散効果も期待できます。
具体的には、30分程度のウォーキングやジョギングといった少し汗ばむ程度の軽めの運動が良いでしょう。
就寝前には軽いストレッチやヨガを行なって全身の筋肉を緩めると、リラックスできて寝つきも良くなるのでおすすめです。
4-3 入浴で全身を温めてリラックスしよう
入浴は冷えた身体を温めるだけでなく、血流が良くなって副交感神経が優位になるので、乱れた自律神経の改善効果が期待できます。
お風呂は40℃くらいのぬるめで15〜20分入る方法がおすすめです。
10分以上ゆっくりお湯に浸かると血流が良くなり、副交感神経が優位となってリラックスできます。
ただし、42℃以上の熱めのお風呂に浸かると交感神経の優位を促してしまうので注意しましょう。
入浴のタイミングは、就寝する60〜90分前が良いでしょう。 一度入浴で温まった体温がその後下がっていくにつき、眠気を引き起こしてくれるので、睡眠の質も上がります。
炭酸ガス入りの入浴剤を使用すると効率的に身体が温まるのでおすすめです。
リラックス効果を高めるような、香りを楽しめる入浴剤も良いでしょう。
4-4 目元・首元を温める
目元には自律神経が集中しているため、アイマスクやタオルで目元を温めることで副交感神経が優位になり、リラックスすることができます。
入浴するよりも時間がかからず、場所を選ばないので、仕事の休憩時間や疲れを感じたときにすぐに試せるのもメリットの一つです。
就寝前に行うとリラックス効果でスムーズな寝つきが期待できます。
市販のいわゆるホットアイマスクを使用するのも良いですが、簡単に作れるホットタオルもおすすめです。
40℃程度の、心地よいと感じる温度で目元を温めてみましょう。
蒸気を伴うものだと、乾いた熱よりも深く広く温めることができるので温熱効果が高まります。
目元のほか、首元を温めることで短時間で全身が温まり、リラックスできるのでおすすめです。
以下にホットタオルの作り方をご紹介します。
ホットタオルの作り方
<レンジで作る方法>
1. 水で濡らしたタオルをラップで包む
2. 500~600Wの電子レンジで30秒~1分加熱する
3. 手で触れるくらいまで冷まして完成
<お湯で作る方法>
1. 洗面器などの容器に45~50度くらいのお湯を用意する
2. タオルの半分をお湯に1分程度浸ける
3. 濡れていない部分で濡らした部分を包み、絞ったら完成
4-5 バランスの良い食事を意識しよう
自律神経を整えるには、1日3食バランスの良い食事をとることが大切です。
特に環境の変化で忙しい日が増えやすい春の季節は偏食になりがちになるので気をつけましょう。
食事の内容については、豚肉や玄米、大豆製品に多く含まれており、疲労回復効果・自律神経を整える働きがあるというビタミンB1を積極的に摂取すると良いでしょう。
また、ストレスを受けると減ってしまうというビタミンC、ストレスによる脳の興奮を抑える働きのあるカルシウムを積極的に取り入れると良いでしょう。
ビタミンCはアセロラ、ゆず、ピーマン、ブロッコリーに多く含まれ、カルシウムは牛乳・乳製品、豆類、小魚に多く含まれます。
腸は自律神経に大きく関わっており、腸の調子が悪いと自律神経の乱れにつながることもあるといいます。
乳酸菌といった善玉菌を多く含み、腸内環境を整えてくれるヨーグルトや納豆、キムチ等の発酵食品や、悪玉菌を減らしてくれる食物繊維が豊富な食べ物を摂取し、腸内環境を整えることも大切になります。
春の季節におすすめの食べ物は、ビタミンCと食物繊維を含む春キャベツ、さやえんどう、セロリと、同じく食物繊維を含むたけのこ、菜の花、ふきのとうです。
身体の冷え防止のため、食べ物・飲み物ともに常温以上のものを摂取するように心がけると良いでしょう。
春は気温に合わせた服装を心がけるのが大切。急な冷え込みに対応できるよう上着やストール等を持ち歩くと良い。
適度な運動は血流を良くし副交感神経を優位にしてくれる。30分程度のウォーキングやジョギングをすると良い。
入浴は全身を温めてくれ、リラックス効果もあるので効果的。40℃くらいのぬるめで15〜20分、就寝前の60〜90分前に入ると良い。
目元には自律神経が集中しているため、目元をアイマスクやタオルで温めることで副交感神経が優位となりリラックスできる。
食べ物は1日3食バランス良く摂ることが大切。ビタミンB1・C、カルシウム、食物繊維が含まれる食品を摂取すると良い。
5. まとめ
「春バテ」についてご紹介しました。
春は穏やかで過ごしやすいというイメージを抱きがちになりますが、気象や環境の変化などによって自律神経を乱しやすく、さまざまな不調が現れやすい季節です。
冷え対策、ストレス発散等、自律神経を整える生活を意識するようにしましょう。
※1 ウェルラボ "春先の気温差に注意!寒暖差疲労とストレスが招く「春バテ」解消法" https://www.well-lab.jp/seasonal/harubate/1014/ 2022年3月31日アクセス
※2 気象庁 https://www.jma.go.jp/jma/menu/menureport.html 2022年3月31日アクセス
※3 ウェザーニュース "自律神経の乱れで花粉症の症状悪化 整える方法は?" https://weathernews.jp/s/topics/202003/110195/ 2022年3月31日アクセス