【睡眠に良い・悪い飲み物】就寝前と起床後におすすめの飲み物・飲み方をご紹介!
寝る前や起きた後に決まった飲み物を飲む習慣はありますか?
睡眠中は脱水状態になりやすいため、就寝前・起床後に水分補給することは大切です。
水分補給だけではなく、就寝前の飲み物はリラックス効果や寝つきを良くする効果といった睡眠の質の向上に関わり、起床後の飲み物は目覚めの良さに関わってきます。
この記事では、就寝前と起床後に水分を摂るメリット、それぞれのタイミングでおすすめの飲み物についてご紹介します。
1. 就寝前は飲み物を飲もう!
1-1 就寝前の水分補給の重要性
人は寝ている間にコップ1〜2杯分の汗をかくといわれていますが、睡眠中は水分補給ができないため、脱水状態になりやすくなります。
脱水状態は睡眠の質のみならず、健康上のリスクも高めてしまいます。
水分不足で血液がドロドロに
脱水状態で血中の水分量が不足すると、血液の濃度が濃くなることで、いわゆる「血液ドロドロ状態」になり、血流が悪くなります。
血液は全身の細胞に栄養や酸素を運ぶ役割のほか、老廃物や不要なものを腎臓などに運ぶという役割もありますが、血流が悪くなると、細胞への栄養分や酸素の補給がスムーズにいかず、老廃物の排出も滞り、老廃物が体に溜まりがちになることで、「寝ても疲れがとれない」という状態になってしまう恐れがあります。
また、血流が悪くなると血管が詰まりやすくなるので、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中といった病気を引き起こすリスクも高くなります。
脱水状態で睡眠の質が低下
水分が不足していると、寝汗がベタつきやすく、乾きにくくなるので、不快感により眠りが浅くなってしまうほか、寝ている間に足がつることも起きやすくなり(こむら返り)、激痛で目を覚ましてしまうといった睡眠の質の低下も起きてしまいます。
水分とともにミネラルも不足すると、特に夏場においては夜間熱中症の原因にもなるので、就寝前の水分補給は大切です。 就寝前に水分をとることによって、血液ドロドロ状態や睡眠の妨害、その他の危険を防ぐことができます。
1-2 就寝1時間前は温かい飲み物でリラックスしよう
水分補給においても大切ですが、就寝前の時間に温かい飲み物を飲むことによって、睡眠の質を向上させる効果も期待できます。
温かい飲み物には、内臓を温めて体温を上げる効果があります。
人が眠くなるには、深部体温(脳を含めた内臓の温度)が下がることが必要で、体温の上がり下がりが大きいほど眠気を起こしやすく、深い眠りに入りやすいといわれています。
そこで、温かい飲み物で一度体温を上げて、体温の下がり幅をつくることによって、その後体温が下がっていくにつき眠気が訪れ、寝つきが良くなり、深い眠りもとりやすくすることができます。
そして、温かい飲み物には副交感神経を優位にするリラックス効果もあるといわれています。
温かい飲み物は満足感を得られやすく、就寝前にお腹が空いた時に飲むことで、間食の代わりにもなります。
飲むタイミングと注意点
飲むタイミングについては、飲み物にもよりますが、就寝1時間前あたりに飲むのが良いでしょう。
就寝直前に飲み、深部体温が上がっている状態で寝てしまうと、脳や内臓が活動的になっているので寝つきが悪くなり、眠れたとしても、就寝直後にやってくる深いノンレム睡眠時に体温が下がりきらないので、睡眠の質が悪くなってしまいます。
また、熱すぎる温度には注意です。胃腸に負担がかかりやすいほか、交感神経も刺激されてしまいます。
1-3 就寝「直前」は常温か冷たいものが良い
温かいものを飲んだ後すぐに寝床に入ると、深部体温が上がっている状態では寝つきが悪くなってしまいます。
就寝直前に飲むなら、常温か冷たい飲み物を飲むようにしましょう。
水分補給には、常温の飲み物が良いでしょう。体温に近い温度ほど内臓への負担は少なくなるので、常温のものは身体への負担がかかりにくいです。
なお、冷たい飲み物を飲むことによって深部体温が下がりやすくなり、寝つきが良くなるともいわれています。
気温が高くなりがちな夏場や、温かい寝具を重ねがちな冬場は特におすすめです。
ただし、冷たすぎると胃腸への負担が大きく、人によっては胃痛や下痢の原因になってしまうので、温度には気をつけましょう。
また、身体が冷えている状態で冷たいものを飲むと、さらに身体が冷えて血流が悪くなってしまうこともあるので、体調にも注意です。
暑い季節にありがちですが、冷たい飲み物ばかりとり続けていると基礎代謝を落としてしまい、睡眠に悪いだけでなく身体の不調にもつながるので、冷たいものの摂取が多いと感じる場合は常温のものを飲むようにしましょう。
1-4 飲み方・量に注意
就寝前の飲み物には、水分補給や寝つきを良くする効果など様々なメリットがありますが、飲み方にもよるので注意しましょう。
飲み方
特に温かいものを飲むときは、ゆっくり少しずつ飲むようにしましょう。
少量に分けてゆっくり飲むことで、胃腸への負担も軽くなり、飲み物に含まれる成分の吸収率も上がります。
温かいものを一気に飲もうとすると火傷の危険があり、胃腸への負担も大きくなるので注意です。
多く飲みすぎない
就寝前の水分補給は大切ですが、かといって大量の水分を摂取すると、夜中に何度もトイレで起きてしまうことが増え、睡眠の質を下げてしまう恐れがあるので注意です。
コップ1杯分を目安に飲むと良いでしょう。
睡眠時は汗によって脱水状態になりやすく、睡眠の質の低下や病気のリスクも高まるので、就寝前の水分補給は重要
就寝1時間前は温かい飲み物で一度体温を上げると、その後体温が下がるにつき寝つきやすく、眠りも深くなりやすい。また、温かい飲み物にはリラックス効果もある
温かいものを飲んですぐに寝ると寝つきが悪くなるので、就寝直前は常温か冷たい飲み物が良い
就寝前に飲み物を飲むときは、コップ1杯分程度の量をゆっくり飲むと良い
2. 就寝前におすすめの飲み物
2-1 白湯(さゆ)
白湯(さゆ)とは、水を沸かしただけで、何も入れていないお湯のことです。同じ漢字ですが、中華料理のスープ「白湯(パイタン)」ではないので注意しましょう。
白湯がただのお湯と違うところは、「一度沸騰させたかどうか」になります。
単に水を温めるのではなく、一度沸騰させた後、適温まで冷ますことがポイントです。
白湯のメリット
白湯のメリットは、1番に内臓への負担が少ないことです。
ゆっくり少しずつ飲むことによって、優しく内臓を温めることができます。
また、しっかりと煮沸した白湯は不純物がほとんど取り除かれているので、胃腸内の汚れが洗い流され、老廃物の排出をスムーズにするデトックス効果が期待できます。
水を沸かすだけなので、わざわざ外に買い物に出なくてもすぐに手に入りやすいということもメリットの一つです。
基本的な作り方
最も基本的な作り方は以下になります。
1. やかんや鍋に水を汲み、蓋をして火にかける。
2. 沸騰したら蓋を外し、火力はそのままか弱火にして10分〜15分煮沸を続ける。
3. 火を止め、40℃〜70℃くらいの好みの温度になるまで冷ます。(おすすめは50℃程度)
白湯はしっかり沸かすことで、口当たりが良くなります。
特に水道水の場合は、沸騰後に10分〜15分煮沸を続けることが重要です。理由は、煮沸し続けることで、水道水に含まれる塩素やトリハロメタン等の不純物を取り除き、殺菌することができるためです。
なお、煮沸時の蒸発を考えて、多めに水を沸かすのが良いでしょう。
電気ポットで作る場合
いちいち水を汲んで火にかけるのは面倒、と思う方は電気ポットを使用すると良いでしょう。
保温機能のあるものは、作り置きにも便利です。
ただ、電気ポットは一旦水が沸騰すると自動で加熱が止まってしまうので、煮沸し続けることができません。
不純物の除去が安定して行えないので、使用する水は塩素の含まれていない、市販のミネラルウォーターが良いでしょう。
飲み方については、電気ポットで沸かしたお湯をカップに注いだ後、好みの温度になるまで冷えてから飲むようにしましょう。
白湯が飲みにくい場合のコツ
白湯だけでは味気ないと感じるならば、少しアレンジを加えると良いでしょう。
おすすめは、程よい甘味を加えられるハチミツ、クエン酸による疲労回復効果を期待できるレモン、身体を温める効果があるショウガです。
ハチミツならばコップ1杯に小さじ1杯程度、レモンならば果汁を絞るか市販のレモン果汁をお好みで、ショウガならばスライスしたものを好みで数片、ジンジャーパウダーや生姜のチューブ等を使用する場合はコップ1杯分に小さじ1杯程度を目安にするのが良いでしょう。
あまり多く入れると胃腸に負担が掛かる場合があるので注意です。
2-2 ハーブティー
ハーブには数多くの種類があり、それぞれに様々な効果を持っています。
その代表的な効果の中には、リラックス効果や自律神経を整える効果、ストレスの軽減効果といったものがあり、快眠を促す効果も多いです。
これらのハーブを用いたハーブティーを就寝前に飲むことで、心身ともにリラックスしながら気持ちよく眠ることができます。
ハーブティーはそのほとんどがノンカフェインなのもポイントの一つで、就寝前でも安心して飲むことができます。
また、ハーブティーにはアロマテラピー効果もあり、豊かな香りを吸い込むことで、香りが脳に直接届き、リラックス効果をさらに高めることができます。
選び方と注意
おすすめは、リラックス効果を持つ「カモミール」や「オレンジフラワー」等を使用したハーブティーです。
初心者の方は、ブレンドハーブティーを選ぶのも良いでしょう。ハーブ単一のものよりも香りも豊かに、味もプロによって調節されているので飲みやすいです。
市販のハーブティーの中には、「寝つきを良くする」「睡眠の質を上げる」といった、睡眠のために飲む方に向けて作られた商品もあるので、どれを選べば良いか分からないという方は、そのような商品を選ぶようにすると良いかもしれません。
ただし、ブレンドのハーブティーの中には、カフェインを含む紅茶やマテ茶等とブレンドしたものもあります。
カフェインは覚醒作用や利尿作用をもつので、就寝前に飲むと寝つきを悪くしてしまう可能性があります。
「ノンカフェイン」と明示されていない商品には気をつけましょう。
飲み方
飲むタイミングについては、ハーブティーには利尿作用を持つものもあるので、就寝直前は避け、就寝より1時間は時間を空けるようにしましょう。
そしてハーブティーを飲む際は、時間をゆっくり使い、香りを楽しむようにして飲むと良いでしょう。
そのままだと飲みにくいという場合はハチミツや牛乳等を足すと飲みやすくなります。
しかし、牛乳などの脂質を含むものは消化に時間がかかるので、ハーブティーに加える場合は、多く入れすぎないようにする、低脂肪・無脂肪のものを選ぶ、ということを意識しましょう。
以下の記事も参考にしてみてください。
2-3 トマトジュース
夏野菜であるトマトに含まれる栄養素の一つ「カリウム」には、体温を下げる作用があります。
このカリウムによって深部体温が下がりやすくなることで寝つきが良くなり、気持ち良く眠ることができます。
ジュースだと摂取しやすいので、トマトの食感等に抵抗がある方にもおすすめです。
就寝1時間前にコップ1杯分程度飲むと良いでしょう。
なお注意点として、摂取しすぎると身体が冷えすぎたり、お腹を壊したりする恐れがあります。
3. 就寝前はNGな飲み物
3-1 アルコール
「寝酒」の習慣がある方もいらっしゃるかもしれませんが、寝る前のアルコールはNGです。
アルコールには気分を落ち着かせる作用、眠りに誘う作用があり、寝つきは良くなる場合があります。
しかし、アルコールは体内に入ると肝臓内で「アセトアルデヒド」という物質に分解されますが、この物質は覚醒作用を持っているので、眠りが浅くなってしまいます。
また、アセトアルデヒドの分解がさらに進むと、水と二酸化炭素になり、汗や尿として対外に排出されます。そのため、寝汗を必要以上にかいてしまったり、夜中にトイレで起きてしまったりといった睡眠の質の低下をもたらします。
アルコールは就寝3時間以上前に、適量を心がける
アルコールが分解される時間は個人の体質や体重等により差がありますが、一般的に体重約60kgの人が日本酒1合を分解するには約3〜4時間かかるといわれています。※1
アルコールを摂取する場合は、就寝までに最低でも3時間は空けるようにして、過度な飲酒は控え、夕食時あたりに適量を摂取すること心がけるようにしましょう。
適量とは、厚生労働省によると「1日平均純アルコールで20グラム程度」が節度ある適度な飲酒とされています。※2
20グラムは、およそ日本酒1合、ビール中びん1本、ワイン1/4本、缶チューハイのロング缶1缶の量になります。
習慣的な寝酒は控えよう
アルコールは摂取し続けると次第に耐性がつき始めるので、寝つきを良くするという目的で飲んでいると効果を感じづらくなり、次第に摂取量が増える恐れがあります。
最悪の場合はアルコール依存症になるリスクも高まるので、習慣的な寝酒は控えた方が良いでしょう。
3-2 カフェインを多く含む飲料
コーヒー等に含まれているカフェインですが、カフェインには覚醒作用があります。
覚醒のメカニズムとしては、脳には興奮性の神経伝達物質の生成を抑制し、神経の沈静を促す働きをもつ「アデノシン」という物質がありますが、カフェインがこの働きを阻害することによって、「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」といった神経を興奮させる作用を持つ神経伝達物質の生成が促され、間接的に脳が興奮し覚醒する、とされています。
カフェインの効果時間は、個人差がありますが、一般的に若い人で1〜2時間、高齢者では4〜5時間以上が目安とされています。カフェインには利尿作用もあるので、夕食後〜就寝前には摂取しないようにしましょう。
カフェインが含まれているものはコーヒーを想像しやすいですが、紅茶や烏龍茶にもカフェインが含まれているので気を付けましょう。
図. カフェインが含まれている主な飲料
食品の種類 | カフェイン含有量 | 備考 |
---|---|---|
コーヒー | 60mg / 100ml当たり | 浸出方法 : コーヒー粉末 10g を熱湯 150ml で |
玉露 | 160mg / 100ml当たり | 浸出方法 : 茶葉 10g を 60°C のお湯 60ml で 2.5分 |
紅茶 | 30mg / 100ml当たり | 浸出方法 : 茶 5g を熱湯 360ml で 1.5 〜 4分 |
煎茶 | 20mg / 100ml当たり | 浸出方法 : 茶 10g を 90°C の湯 430ml で 1分 |
烏龍茶 | 20mg / 100ml当たり | 浸出方法 : 茶 15g を 90°C の湯 650ml で 0.5分 |
エナジードリンク | 36 〜 150mg / 製品1本当たり | 製品によって、カフェイン濃度及び内容量が異なる |
3-3 牛乳・ホットミルク
「就寝前にホットミルクを飲むとよく眠れる」という話を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、牛乳を飲むタイミングは、就寝前が最適とはいえません。
一般的に、牛乳には糖質や脂質が含まれています。
就寝前に牛乳を飲むと、消化のために胃や脳が活性化するので、身体が十分に休むことができなくなります。
特に脂質は消化に時間がかかるので、その分内臓が休めないことになります。
また、就寝前に飲む牛乳のメリットとして、牛乳に含まれる「トリプトファン」によって睡眠を促す作用を持つ「メラトニン」というホルモンが増える、ということもよく挙げられます。
しかし、トリプトファンによってメラトニンが増えるには、トリプトファンが「セロトニン」というホルモンになり、セロトニンがメラトニンを作る、という作業が必要になりますが、この作業にはおよそ十数時間かかるといわれ、夜にトリプトファンを摂取してもメラトニンの生成が間に合いません。
メラトニンを増やすという目的で飲むのであれば、起床後の時間帯が良いでしょう。
就寝前に飲むならば、低脂肪または無脂肪のものにするのが無難です。
アルコールには寝つきを良くする効果はあるが、効果が切れると睡眠が浅くなる。就寝3時間前までに適量の摂取を心がける
カフェインには覚醒作用が含まれているので、夕食後は摂取しないようにする
牛乳には脂質が含まれており、消化に時間がかかり脳や内臓が休まらないので、就寝前は控える
4. 起床後の飲み物で目覚めを良くしよう!
4-1 起床「直後」は常温の水か白湯を飲もう
起床直後は汗によって身体中の水分が抜けた脱水状態の場合が多いです。脱水状態では血液もドロドロの状態になるので、水分補給のためにも、起床したらまずコップ1杯の水分をとるようにしましょう。
その際、寝起き1番に飲むならば、常温の水か白湯がおすすめです。
一般的に、目覚めた直後は体温が低く、内臓の機能も低下したままになります。
私たちの身体は朝方から体温を上げ始め、身体を徐々に目覚めさせていき、それとともに内臓の機能も活発になっていきます。
内臓の機能が低下している状態で、いきなり冷たい水や、炭酸水等の胃腸への刺激が強いもの、脂質を含む牛乳等の一部の消化に悪い飲料を飲むことは胃腸への負担が大きくなり、お腹を壊してしまうことも増えます。
常温の水か白湯ならば、胃腸に負担がかかりません。また、1番に飲むことで、適度に胃腸が刺激され、消化器官が活性化し、その後の食事の吸収率も上がりやすくなります。
なお、大量の水分も胃腸に負担が掛かるので、コップ1杯分程度が良いでしょう。
寝起きにいきなり、コーラやアイスコーヒーを飲んだり、食べ物を詰め込んだりといったことは控えましょう。
4-2 朝にも温かい飲み物がおすすめ
上述の通り、起床後は体温を上げる必要があるので、温かい飲み物を飲んで体温の上昇を促すと良いでしょう。
内臓が温まると胃腸の動きも活発になるので、消化器官が活性化し、食事で摂取する栄養素の吸収率が上がる、便通が良くなるという効果も期待できます。
起床後は脱水状態になりやすいので、水分補給を心がける。寝起き直後に飲むならば、胃に負担がかからない常温の水か白湯がおすすめ
起床後に温かいものを飲むことで体温の上昇が促され、消化器官の活性化により、朝食の栄養吸収が効率的になる、便通が良くなるといった効果が期待できる
5. 起床後におすすめの飲み物
5-1 牛乳・ホットミルク
上述した通り、牛乳にはトリプトファンが含まれており、トリプトファンから睡眠ホルモンのメラトニンが作られるには時間がかかるので、牛乳を飲むなら普段起床する時間帯がおすすめです。
トリプトファンは体内で合成することができない必須アミノ酸の一つであり、食品から摂取しなければならないので、朝食のメニューに牛乳を取り入れるようにしましょう。
トリプトファンが含まれているというだけではなく、牛乳には5大栄養素と呼ばれる ① 炭水化物、② 脂質、③ たんぱく質、④ 無機質(ミネラル)、⑤ ビタミン がすべてバランス良く含まれているので、栄養補給にも最適です。
朝食に時間をかけたくないという方は、牛乳1杯と、同じくトリプトファンが含まれており、栄養豊富で消化も良いバナナ1本で済ませるのがおすすめです。
また、トリプトファンを摂取したいならば牛乳の代わりに豆乳にしても良いでしょう。
5-2 飲むヨーグルト、乳酸菌飲料
トリプトファンを摂りたいならば、飲むヨーグルトもおすすめです。
ヨーグルトはトリプトファンが含まれているだけではなく、ヨーグルトに含まれる「ビフィズス菌」や「乳酸菌」といった善玉菌には、悪玉菌を排除して腸内の善玉菌を増やす整腸作用があります。
腸内環境が整うことで、睡眠ホルモンのメラトニンの原料となるセロトニンの腸内での生成がスムーズに行われ、セロトニンからメラトニンへの生成も促されます。
また、善玉菌が増え腸内環境が整うと、便秘や軟便といった腸内トラブルの改善や、身体の免疫機能の向上による病気の予防や花粉症対策も期待でき、日中の活発な活動につながります。
腸内環境を整えるなら、飲むヨーグルトの他に乳酸菌飲料も良いでしょう。
摂取するタイミング
摂取するタイミングには注意が必要です。
腸内環境を整えるには、ビフィズス菌や乳酸菌を生きて腸に届ける必要があります。
しかし、これらの菌は胃酸に弱く、特に胃の中の酸性度が強くなる空腹時に摂取すると、菌が胃の中で死んでしまい、生きて腸に届けられる数が減ってしまいます。
ヨーグルトや乳酸菌飲料を摂取するタイミングは、一般的に早くても「食中」が良く、胃酸が薄まっている「食後」が最適となります。
腸内環境を整えるという目的ならば、寝起きの空腹時に一番に摂取しないようにしましょう。
なお、ヨーグルトや乳酸菌飲料の商品の中には、乳酸菌が強化され、「どのタイミングで飲んでも問題ない」というものもあるので、商品の表示等もしっかり確認しましょう。
5-3 味噌汁
寝起きの朝食には味噌汁を取り入れるのもおすすめです。
味噌にもトリプトファンが含まれるほか、発酵食品なので善玉菌を多く含んでおり、腸内環境の改善にも役に立ちます。
温かい味噌汁は体温を上げてくれるとともに、ホッと一息ついてリラックスすることができます。
肉、野菜、魚など様々な具材を合わせることができ、和風、洋風、中華風とアレンジのバリエーションも豊富で食べ飽きないということもポイントです。
同じくトリプトファンを含む豆腐や厚揚げ、身体を温めてくれるショウガ、身体のエネルギーとなる炭水化物を含むジャガイモ等を加えると良いでしょう。
お腹の調子を整える食物繊維を摂りたいならば、大根や玉ねぎ等の野菜類、なめこやしいたけ等のきのこ類、わかめ等の海藻類のほか、こんにゃく等もおすすめです。
6. 起床後すぐはNGな飲み物
6-1 コーヒー等のカフェインを含む飲料
目覚めの1杯として、朝にコーヒーを飲む方も多くいらっしゃると思いますが、朝にコーヒーを飲むときはタイミングと飲み方に注意が必要です。
私たちの身体には、様々な生体機能のリズムが備わっていますが、一般的に朝の8時〜9時の間は、体内の「コルチゾール」というホルモンの分泌量が最も高くなる時間帯になります。
アメリカの神経科学者Steven Miller(スティーヴ・ミラー)氏によると、※3
このコルチゾールの分泌量が高い時間帯にコーヒーを飲んでしまうと、コーヒーのもつ覚醒効果を感じにくくなってしまうといいます。
コーヒーの覚醒効果は、コーヒーに含まれるカフェインの作用によるものですが、
コルチゾールも覚醒作用を持っており、体内で分泌されることによって身体の目覚めが促されます。起床時にコルチゾールが分泌されるのは、いわば私たちの身体に備わっている目覚まし機能ともいえます。
そのため、このコルチゾールが活発に働いている時に、同じ覚醒作用を持つカフェインを摂取しても効果が弱くなってしまうのです。
カフェイン中毒の危険性
ミラー氏によれば、薬理学の重要な原則の一つは「必要な時に薬を摂取する」ことであり、逆に必要としない時に薬を摂取すると、効果が効きにくいばかりか、その薬に対する耐性を高めてしまうといいます。
これをカフェインに置き換えると、体内でコルチゾールによる覚醒作用が働いているときに同じ作用をもつカフェインを摂取しても身体が必要とせず、逆にカフェインへの耐性を高めてしまうことになります。
つまり、コルチゾールの分泌量が多い時間帯のカフェイン摂取を続けると、次第にカフェインが効きにくい身体になってしまうということです。
その結果、カフェインを摂取しても覚醒効果を感じにくくなることから、カフェインを過剰に摂取してしまうといったカフェイン中毒になる危険が発生します。
飲むべきタイミング
ミラー氏によると、8時〜9時の他に、12時〜13時、17時半〜18時半がコルチゾールの分泌量が増える時間帯で、午前中にコーヒーを飲むならば、コルチゾールの分泌量が低下している9時半〜11時半までの間が最も効果的だとしています。
また他の研究で、コルチゾールは起床時間に関わらず、目覚めた直後に増加するとされています。※4
これらのことを踏まえ、起床後1時間はカフェインの摂取は控え、朝においては9時半〜11時半までに摂取し、昼・夜においては、12時〜13時、17時半〜18時以外の時間帯に摂取するようにしましょう。
どうしても起床後すぐにコーヒーが飲みたいという場合は、デカフェコーヒーまたはカフェインレスコーヒーがおすすめです。
コーヒー飲用時の注意点
コーヒーを飲むときは、空腹時は控えましょう。
空腹時にコーヒーを飲むと胃に負担がかかり、胃液の分泌によって胃の中が荒れたり、お腹を下したりする恐れがあります。
起床後は空腹状態になっているので、飲む際は食事をしっかりとるようにしましょう。
カフェインは摂取するタイミングを誤ると、カフェインが効きにくい体になるほか、カフェイン中毒の危険がある
コーヒー等のカフェインを摂取する場合は、起床後1時間は控え、朝は9時半〜11時半までに摂取すると良く、12時〜13時、17時半〜18時の時間帯の摂取は控える
7. まとめ
就寝前と起床後に飲み物を飲むメリット、それぞれのタイミングでおすすめの飲み物についてご紹介しました。
飲み物は飲むタイミングや温度によって睡眠の質を良くも悪くもするので気をつけましょう。
また、今回この記事でご紹介した白湯やハーブティーのメリット効果を得るには、継続して飲み続けることが大切になります。
無理のない範囲で、習慣にしていきましょう。
※1 公益社団法人 アルコール健康医学協会 "飲酒の基礎知識" http://www.arukenkyo.or.jp/health/base/index.html 2021年08月04日 アクセス
※2 厚生労働省 "飲酒のガイドライン" https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html 2021年08月04日 アクセス
※3 BrainFacts.org "The Best Time for your Coffee" https://www.brainfacts.org/thinking-sensing-and-behaving/diet-and-lifestyle/2013/the-best-time-for-your-coffee 2021年08月04日 アクセス
※4 Fries E, Dettenborn L, Kirschbaum C. The cortisol awakening response (CAR): facts and future directions. Int J Psychophysiol. 2009;72(1):67–73.