【あなたはどっち?】朝型と夜型、特徴とその違い
「朝型人間」、「夜型人間」という言葉がありますが、自分がどのタイプなのかを知っていますか?
「早起きは得意」、「夜の方が集中できる」等、自分がどのタイプかをなんとなく自覚している方も多いかもしれません。
この記事では、朝型と夜型についてご紹介します。
自分のタイプをチェックする方法も併せてご紹介するので、ぜひ試してみてください。
1. 朝型・夜型を決める要因
世の中には、朝に活動的になる、いわゆる「朝型人間」の人、夜に活動的になる「夜型人間」の人がいます。
どうして朝型の人と夜型の人に分かれるのでしょうか?
1-1 クロノタイプとは?
一般的に「朝型」「夜型」と呼ばれる、私たち一人ひとりがもつ体質的な傾向をクロノタイプと呼びます。
クロノタイプは単に朝型・夜型の2つに分類されるのではなく、基本的に「1. 強い朝型」、「2. 朝型」、「3. 中間型」、「4. 夜型」、「5. 強い夜型」の5つに分類されます。
3の中間型は朝型と夜型の中心に位置し、中間型の人は個人の生活リズムによって、朝型と夜型のどちらにもなり得ます。
日本の場合、中間型の人が40%を占めるようです。(下図)
日本のクロノタイプ分布(引用:「日本内科学会雑誌」三島 和夫 著)
1-2 朝型か夜型かの50%は遺伝子によって決まっている
研究によって、クロノタイプの決定は遺伝子が関わる部分が大きいことがわかっています。
つまり、朝型か夜型かは生まれつき、ほとんど決まっているということです。
2019年、国際的な学術雑誌「Nature Communications」誌によると、※1
およそ70万人の英国人を調べた結果、351個の遺伝子が朝型か夜型かを決めるのに関わっていることが分かったそうです。
私たちの身体には一日の生活リズムを作る「体内時計」がありますが、それをつかさどるのが「時計遺伝子」です。
この研究で時計遺伝子は351個あることが発見され、また、この時計遺伝子のどの種類をどれだけ持っているかで朝型か夜型かが決まるということが分かりました。
そして、クロノタイプが遺伝的に決まっている割合は、約50%にも達するともしています。
1-3 年齢、外的要因の影響も受ける
クロノタイプは年齢にも影響を受けます。
一般的に、小学生の頃は朝型が多く、10代後半から20歳までの思春期は夜型に変わり、50代を過ぎ老年になっていくとまた朝型に戻っていくとされています。
高齢になると朝早く目覚めやすくなるように、睡眠のみならず多くの生体機能リズムが前倒しになるので、朝型になりやすくなります。
また、「中間型」クロノタイプの人においては光を代表とした外的要因によっても決められます。
一人ひとりが持つ体質の違いを「クロノタイプ」といい、「朝型」と「夜型」の他に「中間型」も存在する
クロノタイプは遺伝的に約50%決まっており、351個の時計遺伝子によって決められている
クロノタイプは遺伝以外にも、年齢や、「光」といった外的要因によっても決められる
2. 朝型と夜型の違い
2-1 体温リズムの違い
朝型と夜型では、体温リズムが異なっています。
アメリカのノースウェスタン大学の研究によると※2、朝型の人と夜型の人とでは、一日の体温の上がり下がりのリズムが異なるとしています。
この実験は101人の若い男性と71人の若い女性、朝型と夜型のどちらも含めた合計172名の男女を対象に行われ、6日間いつも通り生活してもらい、その間継続的に深部体温を記録し続けました。
その結果、以下のことがわかっています。
・就寝時刻と起床時刻は朝型の人の方が夜型の人よりも1時間半程度早い
・体温の下がり方は朝型の人が急で、夜型の人は比較的穏やか
・深部体温が最も低くなってから起床するまでの時間は、朝型の人のほうが夜型の人よりも長い
・起床時の体温は、朝型の人のほうが夜型の人よりも高い
この実験では、朝型の男女は午前6時ごろから体温が上がり始め、午後10時ごろから体温が下がっていくのに対し、夜型の男女は午前8時ごろに体温が上がり始め、午前0時ごろから体温が下がっていくことが記録され、両者では深部体温が最も低くなる時刻がおよそ2時間も異なっていたそうです。
人は体温が上がることで活発な活動をすることができ、体温が下がることで眠たくなります。
朝型の人は朝早くから体温が上がり始めるので、早起きが苦にならず午前中は活動的に、10時を過ぎたあたりから眠たくなってくるので夜は早く眠りに就くことができます。
反対に、夜型の人は朝早くは体温が低いため起き上がるのが辛く午前中はあまり元気がありませんが、夜はなかなか体温が下がり始めないので活動的になるのです。
2-2 朝型の特徴
上述の研究でも明らかになった通り、朝型の人は体温が朝早くから上昇するので目覚めが良く、朝寝坊をしにくいです。目覚めが良いので、午前中に活発に活動することができます。
また、夜は体温の下がり方が急なので入眠にかかる時間が短く、寝つきが早いです。決まった時間になると眠くなりやすく、寝つきが早いので就寝時間と起床時間が規則的になりやすいという特徴も持っています。
他に朝型の特徴としては、健康的で病気になりにくいということが挙げられます。
多くの学校や会社は8時から10時頃が始業時間なので、社会生活のパターンに合わせた場合、朝型の方が夜型よりも睡眠時間を確保しやすく、そのため病気のリスクが低いということが考えられます。
弱点としては、夜遅くまで起きていられないので、夜間の急な用事等の事態に対処しづらいこと、夜更かしをした場合、朝早くから体温の上昇が始まるため長く寝られず、睡眠不足に陥りやすいこと等が挙げられます。
朝型の人には、「内向的」、「勤勉でほがらか」、「粘り強い」という性格の方が多く、女性に多いといわれています※3。
2-3 夜型の特徴
夜型の人は体温の上昇し始める時間が遅いので目覚めは悪いですが、その代わりに午後から夕方になると活発になり、作業の効率が上がります。
体温の上がり方や下がり方が穏やかなため、夜遅くまで起きていられ、時間の制約がなければ長時間眠ることができます。
就寝時間を朝型よりも比較的柔軟に設定できるのが特徴の一つです。
また、飲み会や交流会といった夕方以降に行われることの多いイベントにおいて活躍しやすく、朝型の人よりも人と交流する機会が多いというメリットも持っています。
弱点としては、体温が下がり始めるまでに時間がかかるため、早めに寝ようとしても入眠に時間がかかることや、社会生活のパターンに合わせると睡眠時間を確保しにくく、ストレスも感じやすいため、うつ病や精神病にかかるリスクが高いということ、食べる時間が遅くなることで肥満になりやすいこと等が挙げられます。
夜型の人には、「外交的でリスクをいとわず新たな刺激を好む」、「柔軟で変化に強い」、「衝動的」という性格の方が多く、男性に多いといわれています※3。
朝型の人と夜型の人とでは、一日の体温の上がり下がりのリズムが異なる
朝型の人は体温が朝早くから上昇するので目覚めが良く、朝寝坊をしにくい
夜型の人は体温の上昇し始める時間が遅いので目覚めは悪いが、午後から夕方になると活発になる
3. 自分のクロノタイプをチェックしよう!
自分が朝型、夜型のどちらなのかチェックしてみましょう。
自分がどのタイプなのかを知ることは、自分の生活リズムの基準を決めたり、社会人においては身体的能力や脳のパフォーマンスがどの時間帯で最高になるかを知ったりする上でも、とても重要になります。
国立精神・神経医療研究センターのホームページにて、19の質問からクロノタイプの判定ができるので、ぜひ試してみてください。
4. クロノタイプは変えられる?
4-1 現代社会は「朝型」向き
時勢もあり、状況が変化しているところもありますが、学校、会社、役所の始業時間は8時から10時頃のところがほとんど一般的でしょう。
早寝早起きが美徳とされ、早起きができない人は怠け者とみなされがちな世の中、社会生活は朝型向きで、夜型の人にとってはストレスも多く、辛い環境だと思います。
夜型から朝型へ変わることはできるのでしょうか?
4-2 体質は変えられないが、生活リズムは変えられる
クロノタイプは遺伝的に決まっているとお伝えしましたが、「中間型」クロノタイプを除き、体質を変えることはできません。
「朝型」も「夜型」も時計遺伝子が決めていることであり、自分ではどうすることもできないのです。
しかしながら、例えば夜型から朝型の体質に変えることはできなくても、努力次第で朝型の生活に適応することはできます。
つまり、夜型でも早起きを楽にすることはできるということです。
4-3 夜型から朝型「生活」へ変えるためにできること
夜型から朝型生活に変えるための方法をご紹介します。
大切なのは、「慣れ」です。
早寝早起きではなく、早起き早寝を心がける
早起き早寝とは、早起きを心がけることによって早寝ができるということです。
夜型の人は上述の通り体温の下がり始めが遅いため、早めに寝ようとしてもなかなか眠ることができず、早寝を失敗してしまいがちになります。
そこで、早起きをして起きている時間を増やして疲れを溜めることによって、結果的に早く眠れるようになることを目指します。
習慣づけていくことが大切です。早起きを続けていけば、身体のリズムがだんだん整い、朝型に切り替わっていきやすくなります。
早起き早寝のコツとしては、いきなり朝早くに早起きしないようにすることです。
例えば、いつも深夜1時に寝て朝7時に起きる人が、いきなり朝5時に起きるようにしても、目覚めが悪く、睡眠不足で体調が悪くなる等、あまり長続きしません。
最初はいつもより15分程早く起き、いつもより15分程早く就寝する程度にして、慣れてきたら更に15分早く起きて15分早めに寝る、ということを繰り返すのがおすすめです。
時間はかかりますが、身体に負担をかけずに朝型生活に移行していくことができ、早起きが楽になります。
毎朝の光・朝食・運動
夜型の人が夜遅くでも眠くならず、朝が辛いのは、体内時計が遅れているために生活リズムが後ろ倒しになっているからです。
そこで、体内時計を早めることによって、生活リズムを朝型に変えることができます。
体内時計には脳にある「親時計」と全身の細胞の1つ1つにある「子時計」の2種類がありますが、光を浴びることによって親時計を、朝食をとることによって子時計を、それぞれ早めることができます。
また、運動によっても体内時計を早めることができます。
体を動かすことによって体温も上がるので、午前中の活動もある程度楽になります。
朝起きたらまずは光をたっぷりと浴びる、朝食を必ずとるようにする、徒歩や自転車で通勤・通学する等を意識しましょう。
強い夜型の人ほど慣れと根気が必要
ここまで夜型から朝型に変えるための方法を2つお伝えしましたが、生活を変えるために一番必要なものは「根気」です。
早起き早寝、毎朝の光・朝食・運動、どちらにおいても続ける努力が必要ですが、それだけではありません。
それは、夜型の人ほど朝型の生活に慣れるのに時間がかかるということ、そして気を抜くとすぐに夜型の生活リズムに戻ってしまうことです。
例えば、早起き早寝を心がけていつもより30分に早起きするようにしても、就寝時間を早起きした30分早まるのにはおよそ3週間ほどかかります。夜型が強い人は更に時間がかかる場合もあります。
また、夜型は体内時計が後ろにシフトする力が強いため、1日でも飲み会等で夜更かしをしたり、休日だからといって早起きしなくなったりすると、すぐに元の夜型生活に身体が移行してしまいやすくなります。
「休日」を含めた毎日の継続がないと、安定した朝型生活を得ることはできないのです。
大げさと思われるかもしれませんが、それほど遺伝的な生活リズムを変えていくのは大変で、根気強く続けていくことが大切だということです。
「朝型」、「夜型」といった体質を変えることはできないが、生活リズムを変えることはできる
夜型が朝型に変わるためには、「早起き早寝」、「毎朝光を浴び、朝食をとる」、「体を動かす」ことが大切
夜型から朝型に変わるのは夜型が強い人ほど難しく、毎日継続していく根気が求められる
5. まとめ
朝型、夜型についてご紹介しました。
私たち一人ひとりの体質にあった生活を送るのが一番良いですが、社会生活を営む上ではそう簡単にはいきません。
朝型向きの世の中で、夜型の人には辛い環境が多いと思いますが、そういった場合は少しずつ朝型の生活に合わせていくと楽になるかもしれません。
早起き早寝、朝に光を浴び、体温を上げるといったことを意識していきましょう。
※1 Samuel E. Jones et al. Genome-wide association analyses of chronotype in 697,828 individuals provides insights into circadian rhythms 2019;
※2 Erin K. Baehr, William Revelle, Charmane I. Eastman: Individual differences in the phase and amplitude of the human circadian temperature rhythm: with an emphasis on morningness–eveningness 2001;
※3 マイナビニュース "朝型・夜型は遺伝で決まっていた。睡眠のタイプを知れば、人生が変わる! /精神科医、産業医・穂積桜" https://news.mynavi.jp/article/20200630-1068919/ 2021年6月18日アクセス