【秋の睡眠】「秋バテ」による睡眠の質の低下に注意!おすすめの対策法4選!
暑い季節が終わってようやく過ごしやすくなると思ったら、なんとなく身体がだるい…気力が出ない…。
それは秋特有の身体の不調、「夏バテ」ならぬ「秋バテ」かもしれません。
秋バテは身体のだるさや気力の低下だけではなく、睡眠の質にまで影響を及ぼすことがあります。
この記事では、秋にあらわれる不調「秋バテ」についてやその対策法、秋の睡眠において注意すべきことをご紹介します。
1. 秋の睡眠について
睡眠時間が季節によって自然に変化することがあるのはご存知でしょうか?
「秋の夜長」といいますが、秋・冬の季節は段々と日照時間が短くなり、夜の時間が長くなります。
そのため、夏に比べると睡眠時間も長くなりやすいといわれています。
地域によって差はありますが近年の日本の夏は猛暑日になることが多く湿度も高くなりがちになるので、私たちの身体には負担がかかり、夏の疲労が蓄積されていることが多いです。また夏は寝苦しくなりやすいので、睡眠不足になっている方も多いかもしれません。
身体の疲労を回復するために、涼しくなってきた秋こそ睡眠をしっかりとることを目指したいものです。
しかし、夏の疲労を引きずったままだと、過ごしやすいはずの秋になってもなかなか疲れがとれない、気分が優れないといった「夏バテ」に似た症状があらわれることがあります。
これを「秋バテ」といい、気力の低下や頭痛、さらには睡眠の質の低下といった事態を引き起こしてしまう不調です。
秋の睡眠は、この「秋バテ」を予防・対策していくことが重要になります。
秋は日照時間が短くなるため、睡眠時間も長くなりやすい
秋になっても夏バテのような症状があらわれることを「秋バテ」といい、この不調を予防・対策していくことが秋の睡眠において大切
2. 秋バテについて
2-1 「秋バテ」とは
「夏バテ」は知っているけど「秋バテ」については初耳、という人も多いかもしれません。
秋バテとは、夏から秋にかけての大きな寒暖差や低気圧などの影響で身体に負担がかかり、夏バテに似た様々な不調があらわれることをいい、現代病ともいわれています。
2-2 秋バテの症状
夏バテと似たような症状があらわれ、身体が疲れやすく感じる、だるい、食欲がないといった代表的な症状のほか、人によっては頭痛や肩こり、腹痛・下痢、めまい・立ちくらみ、イライラ等の症状があります。
また、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるといった睡眠の質の低下もおこる場合があります。
ひどい状態になると気力の低下に加えて精神的な悪影響も大きくなり、「秋うつ」とも呼ばれる秋特有のうつ病の原因にもなる恐れがあります。
2-3 夏バテとの違い
「夏バテ」との違いは、夏バテは春から夏にうつる季節の変わり目や、7〜8月の特に暑くなる時期に起きるのに対し、秋バテは夏から秋への季節の変わり目に起こり、夏の暑さが落ち着き、涼しく過ごしやすくになってきたにもかかわらず、疲労やだるさ等の身体の不調が続いている状態をいいます。
また、夏バテは一般的に気温の上昇に身体が適応できずにおこる不調をいいますが、秋バテは気温の低下による身体の不調をいいます。
どちらにおいても共通しているのは、大きな寒暖差に身体がついていかないことによる自律神経の乱れとそれに伴う血行不良、また身体の冷えによる体温調節機能の乱れが原因ということです。
秋バテとは、夏から秋にかけての大きな寒暖差や低気圧などの影響による夏バテに似た様々な不調をいう
秋バテの症状としては、身体が疲れやすく感じる、だるい、食欲がないといった代表的なもののほか、睡眠の質の低下等が挙げられる
気温の上昇によっておこる夏バテとは違い、秋バテは気温の低下によっておこり、暑さが落ち着いてくる時期にあらわれる
3. 秋バテの原因
3-1 大きな原因は自律神経の乱れ
秋バテの大きな原因は自律神経の乱れによるものです。
元々溜まっていた夏の疲労に加えて、秋における様々な要因が重なることで、自律神経が乱れてしまうことが多くなります。
以下に、秋において自律神経が乱れてしまう原因をご紹介します。
3-2 原因① 大きな寒暖差による疲労
気温の寒暖差
夏から秋の季節の変わり目は、日中は残暑厳しく半袖で過ごせるほど気温が高くなる事もある一方、朝晩はぐっと冷え込むことも多いです。
また、気候も不安定になり、日中の気温も日によって大きく異なる場合も多いため、その大きな気温差に身体がついていかず、自律神経にとって大きな負担となります。
自律神経の役割の一つに「体温調節」があり、寒いときは筋肉を動かしたり血管を収縮させたりすることで体温を上げ、暑いときは汗をかいたり血管を広げたりして体温を下げようとします。
昼と夜、また1日ごとに大きな寒暖差が続くと、自律神経が環境に適応するために体温調節の切り替えを何度も行うことになり、その結果自律神経が疲弊してしまうので、バランスが乱れてしまう原因となるのです。
室内外の寒暖差
気候の変化だけではなく、室内外の寒暖差にも注意する必要があります。
気温の高い日中の外と冷房の効いた室内といった寒暖差の激しい場所を何度も行き来していると、自律神経の疲労につながります。
冷暖房設備のある電車やバスの通勤で乗り換えが多いという場合も寒暖差疲労の原因になります。
3-3 原因② 低気圧
自律神経は気圧の変化に敏感に反応し、低気圧の影響を受けやすいといわれています。
秋は雨の日が多く、台風シーズンでもあるため気圧変動が非常に大きいので、その分自律神経に不調が生じやすくなります。
また特に影響が出やすいのは片頭痛やめまいとされており、元々これらの症状を抱えている方は気圧の変化で悪化しやすいともいわれています。
3-4 原因③ 内臓の冷え
夏の習慣をそのまま引きずってしまうと、自律神経の乱れにつながります。
夏の間に、暑いからといって冷たい食べ物や飲み物ばかりを飲食していると、内臓が冷えてしまいます。
この夏における内臓の冷えの影響は長く続き、そのまま過ごしていると秋になっても便秘や下痢といった胃腸の働きの不調や、食欲の低下が起こります。
冷たいもので胃腸といった内臓の温度が冷えていると身体全体が冷えてしまうほか、血行が悪くなるといった不調も生じます。
自律神経は血液循環や食べ物の消化にも密接に関わっているため、内臓機能の不調が自律神経にまで影響を及ぼし、バランス崩してしまいます。
3-5 原因④ 身体の冷え
気温の冷え込み、冷房の効いた部屋で長時間過ごす、冷たいものの飲食などによる身体の「冷え」は、身体のもつ体温調節機能を狂わせ、自律神経の乱れを引き起こします。
そして、疲労回復や睡眠の質にも影響を及ぼします。
私たちの身体は深く眠るために深部体温を下げる必要があり、就寝時に身体の中の熱を下げるために手足の末梢の血管を広げて血流量を増やし、外気温で血液を冷やすことで熱を放出します。
熱を放散して体温を下げるとともに、体温の変化に合わせて副交感神経が優位になることで眠気が促され、深く眠ることができます。
しかし、身体が冷えている場合は、それ以上体温を下げないように交感神経が活発になります。
交感神経が優位になっているとリラックスできず、寝つきが悪くなってしまいます。
また、交感神経は血管を収縮させるので血行が悪くなります。
血行が悪くなると熱放散による深部体温の低下が妨げられて眠りが浅くなってしまったり、体内の老廃物の排出や栄養の補給が上手くいかない事による疲労回復の低下が起きたりする恐れがあり、睡眠の質を低下させてしまいます。
秋バテの大きな原因は自律神経の乱れであり、自律神経が乱れる原因の一つは気温や室内外の温度差によるもの
自律神経は気圧変化に敏感であり、雨が多く台風シーズンでもある秋は気圧変動が大きいため、自律神経も影響を受けやすくなる
夏に冷たいものばかり摂取していると内臓が冷え、この内臓の冷えが秋まで続くと自律神経を乱す原因となる
身体の冷えは自律神経が関わる体温調節機能を狂わせ、交感神経を優位にしてしまう
4. 秋バテの対策法4選!
秋バテの大きな原因は自律神経の乱れと、それに伴った身体の冷えなので、それらを改善することが大切になります。
4-1 しっかりとした寒暖差対策
まずはしっかりと衣替えの準備をしておくことが大切です。
長袖のシャツ等で、気温の急な冷え込みや冷えた室内にも対応できるようにすると良いでしょう。
日中に長袖は暑いという方は、急な気温変化に備えて上着を一枚持ち歩いておくと便利です。
自宅においては、夏と同じような感覚ですぐに冷房をつけることは控えるようにしましょう。
オフィスや電車内など、自分で空調温度を設定できない場合は、カーディガン等の上着で調節し、室内外との温度差をできるだけ減らすようにしましょう。
また、上半身は寒さを感じていなくても下半身は冷えやすく、お腹の調子を悪くする恐れがあります。
長時間冷えた室内にいるといった場合は、上着に加えて腹巻きや膝掛けを活用すると良いでしょう。
就寝時においては、布団代わりのタオルケットを使い続けるといったことは控え、タオルケットに加えて厚手の布団や毛布を用意しておき、気温によって微調整できるような寝具の準備を整えておきましょう。
4-2 対策② 入浴で身体を温めリラックスしよう
夏はシャワーだけで済ませていたという人も多いかもしれませんが、秋は入浴で身体を温めるようにしましょう。
冷えてしまった身体を温めて、体力の回復、胃腸機能の回復を助けてくれます。
お風呂は40℃くらいのぬるめで15〜20分入る方法がおすすめです。
10分以上ゆっくり浸かると身体が中から温まり、リラックスすることで副交感神経の働きが促されます。
副交感神経が優位になると血管が広がるので、血行も良くなります。
ただし、42℃以上の熱めのお風呂に浸かると脳を活発にさせる交感神経の働きを促してしまうので注意しましょう。
入浴のタイミングは、就寝する1時間〜1時間半前が良いでしょう。
血行が良い状態だと入浴後に行われる熱放射もスムーズに行われるので、一度入浴で温まった深部体温がその後下がっていくにつき、眠気を引き起こしてくれます。
4-3 対策③ 日中は軽めの運動で活動的に
適度な運動をすることによって体温が上がり、筋肉がほぐれて血行も良くなるので、疲労感の緩和の手助けになります。
30分程度のウォーキングやジョギングといった少し汗ばむ程度の軽めの運動が良いでしょう。朝夕の比較的涼しい時間帯がおすすめです。
なお、コロナ禍の昨今では外での運動は控えたいと思っている方も多いと思います。
その場合はラジオ体操やストレッチ等、室内でできる運動を行うと良いでしょう。
運動は習慣づけすることでより効果を発揮します。自宅に篭ることが多く運動不足になりがちな状況だからこそ、自宅でも無理なく行える運動を続けていきましょう。
インターネット上には簡単に行える体操やストレッチなどを紹介している記事や動画も多いので、活用するのもおすすめです。
4-4 対策④ 食事に気をつけよう
冷たい飲み物や食べ物ばかり摂取していると秋バテが進み、回復も遅くなってしまいます。
常温以上の温かいものをなるべく多く摂取するようにしましょう。
食事の内容については、豚肉や玄米、大豆製品によく含まれており、疲労回復効果・自律神経を整える働きがあるという「ビタミンB1」を積極的に摂取すると良いでしょう。
また、ネギ、ニンニク、ニラ、ショウガなど、身体を温める食材も食事に取り入れましょう。
脳と腸は互いに影響しあっており、腸の調子が悪いと自律神経の乱れにつながることもあるといいます。
「乳酸菌」といった善玉菌を多く含み、腸内環境を整えてくれるヨーグルトや納豆、キムチ等の発酵食品や、悪玉菌を減らしてくれる「食物繊維」が豊富な食べ物を摂取し、腸内環境を整えることも大切になります。
食物繊維を多く含む食べ物については、秋の季節においてはさつまいもや、椎茸、マイタケ、エノキ、マツタケといったキノコ類がおすすめです。
飲み物については、就寝前に飲むなら胃腸に優しい白湯や、リラックス効果のある温かいハーブティーがおすすめです。
ゆっくり少しずつ飲むと胃腸への負担も少なく、気分も落ち着きます。
就寝前1時間くらいに飲むと良いでしょう。
5. 秋の睡眠で気をつけること
5-1 積極的に光を浴びよう!
秋は日照時間が短くなるので、光の刺激が減ります。
人は光を浴びると、脳内の神経伝達物質の一つである「セロトニン」が分泌されますが、セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、人間の精神面に大きな影響を与えるもので、不足すると気力の低下やストレスの増加等が引き起こされます。ひどい場合だとうつ病を発症する場合もあるので注意が必要です。
また、セロトニンは夜になると睡眠ホルモンの「メラトニン」の生成に使用されるので、セロトニン不足だとメラトニンが十分に生成されず、睡眠の質を低下させてしまう場合もあります。
朝起きたときは一番にカーテンを開けるなど、夏のころよりも意識的に光を浴びるようにしましょう。
人口の光でも問題ありませんが、できるだけ明るい光を浴びると良いでしょう。
5-2 睡眠不足による食べ過ぎ
秋は注意していないと、上述の秋バテや日照時間の短さによるセロトニン不足などによって睡眠の質が低下し、睡眠不足の状態を引き起こすことも増えてしまいます。
ここで問題なのが、睡眠不足の状態だと食欲が増進してしまうということです。
睡眠と食欲の関係には「グレリン」と「レプチン」という二つのホルモンが関わっていることがわかっています。
グレリンは食欲を増進する働きをもつホルモンで、レプチンは食欲を抑える働きをもつホルモンです。
2004年にスタンフォード大学がおよそ1000人のボランティアの参加者に対して行った研究によると、※1
平均睡眠時間が5時間以下の人は8時間の人と比べて血中のグレリンが14.9%増加し、逆に血中のレプチンが15.5%減少するということがわかりました。
秋は「食欲の秋」とも呼ばれ、旬で美味しいものが増える季節でもあり、ついつい食事の量も増えてしまいがちになります。
季節の疲労を回復するための食事はもちろん大切ですが、食べ過ぎは肥満のリスクを高めるので注意です。
睡眠不足に陥っているとさらに食事に対するブレーキがかかりにくくなります。
毎日の睡眠時間は確保するようにしましょう。
秋は日照時間が短くなるので光の刺激が減り、セロトニン不足になる恐れがある。セロトニン不足は気力の低下や、睡眠の質の低下をもたらす
睡眠不足になると食欲が増進し、旬の食材が多い秋の季節は食事の量がさらに増えてしまうので、肥満になるリスクが高まってしまう。毎日の睡眠時間は確保するようにする
6. まとめ
秋の季節にあらわれる秋バテについてご紹介しました。
秋は夏の疲労を引きずってしまうとそのまま自律神経の乱れにつながって、日中の活動や睡眠に影響を及ぼしてしまいます。
秋は夏と比べると涼しく寝苦しさもなくなるので、寒暖差対策や食事等に気をつけていれば、自身の睡眠習慣を改善しやすい良い機会でもあります。
疲労を溜めない、溜まってもすぐに解消できるような生活習慣を心がけるようにしましょう。
※1 Taheri S, Lin L, Austin D, Young T, Mignot E: Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Medicine 2004;1:210-7.